パネルディスカッションの作り方(「勝手にワーク・シフト」DevLOVE2012)
12/15(土)、16(日)の二日間にわたって開催された「DevLOVE 2012」にスタッフとして参加しました。
初日の第一セッションでパネルディスカッションのコーディネーターを担当したので、備忘録をかねて準備の過程とかを紹介します。
DevLOVE2012 「勝手にワーク・シフト」 〜4人の達人開発者と未来について語ろう〜
・セッション紹介ページ
http://devlove2012.devlove.org/speaker#speaker_8
・つぶやきまとめ
・スライド
http://www.slideshare.net/takelog3000/devlove2012-15646749
準備開始から本番までおよそ一ヵ月半ほど。今回は短期集中詰め込み型の準備ではなく、ある程度の期間の中で、少しずつ自分の中でパネルディスカッションのコンセプトや扱う情報が腑に落ちるようにしています。
準備から本番までの工程をざっくりわけると下記になります。
【全体の手順】
- コンセプトを考える
- 情報を集める(整理する)
- セッションの構成を考える
- 本番
それぞれの工程を説明します。
【1. コンセプトを考える】
大元のコンセプトは、DevLOVE 2012 の企画会議の際に、「組織から独立した技術者の実態を聞いてみたいよね」だったと思います(私の記憶が確かなら)。時間枠は50分、登壇していただく方は4名、となりました。パネルディスカッションのパネリストは、なるべく異なる立場の人を選ぶことが基本なので、それを踏まえて、高江洲 睦さん(@takaesu0)、中村 薫さん(@kaorun55)、綿引 琢磨さん(@bikisuke)、梶浦 毅一さん(@shirokappa)にお願いすることとしました。4名のみなさまがどういうふうに違うのかは前述のスライドをご参照ください。
【2. 情報を集める】
パネルディスカッションの準備段階における情報収集は主に三つです。
ⅰ. お客さんの傾向
お客さんがどういった人達で、どのような話(情報)を求めているのか事前に仮説をたてます。
今回はDevLOVEのイベントなので、お客さんのほとんどはエンジニアです。そして、セッション紹介ページで「自分の働き方を決めるのは会社ではなくて自分自身だ!」とぶちまけたので、独立や転職に興味をもっている人が聞きにくるという仮説をたてました。ざっくりとした仮説ではありますが、これを元に働き方や報酬に関するトピックと、技術に対してどのように考えているのかを聞くトピックを用意しました。
ⅱ. パネリストの背景
ご登壇いただいた4名の皆様とは、DevLOVE等のコミュニティで会ったり、Twitterでやりとりをするようになったりして知り合いました。顔、名前、だいたいどういう仕事をしている人なのかは分かっていたのですが、どうして独立に至ったのか、実際にどういった働き方をしているのかまで詳しいことは知りません。そこで、事前準備のMTGでお時間をいただきそれらについて教えてもらいました。時間があれば、彼らがやっている技術についてもしっかり調査すべきでしたがそこまでは手が回りませんでした。反省。
ⅲ. コンセプトに対する補足情報
パネルディスカッションは、人だけ集めて「じゃ、よろしく!」で上手くいくわけではないので、セッションの軸となる話題を設定しておく必要があります。そして、話の引き出し手としてある程度の知識武装をしておく必要もあります。そのための準備として下記の書籍を読みました。
ちなみにセッションタイトルを決めた時点では「ワーク・シフト」は未読でした。もしこの本がコレジャナイだった場合は相当苦労をしたかもしれませんが幸いテーマにしっかりはまってくれました。
「ビジネスモデルYOU」については、私のこれまでのエントリーでも書きましたが、この本を読みキャンバスを描くことで、他の人の仕事の内容についてもより整理できるようになるので便利でした。
【3. セッションの構成を考える】
パネルディスカッションが上手く盛り上がるには、前提となる知識をある程度は揃えておく必要があります。言い換えると、議論の方向性を合わせるとも言えるでしょう。今回は前半部分で「ワーク・シフト」の概要をいつものライトニングトークっぽい感じで解説し、それから事前に用意したトピックを元にディスカッションを行うこととしました。
私が有名人でかつ喋りが上手く段取りもしっかり頭に入る頭の良い人であれば、椅子とマイクさえあればあとは他に何もいらないのですが、残念ながらそれには程遠いので自分を助けるためにスライドを用意しました。このスライドはとある有名なMAD系動画を参考にして作りました。この動画は洋楽、邦楽の有名アーティスト計4組の楽曲をマッシュアップしたものです。今回のパネルディスカッションはパネリスト4名と参加されるお客さんとで作っていくものであるという意味を込めていますが、それ自体はパネルディスカッションの出来が隠されています。
【4. 本番】
本番でコーディネーター(モデラー)がやることは下記の4つです。
- パネリストとお客さんの発言を集中して聴く
- その内容をすばやく咀嚼して次の話へ展開する
- 会場にいる全ての人の表情、視線やちょっとした動きに目を配る
- その様子から話の展開やテンポを調整する
箇条書きで4つ。しかしこれはほぼ同時並行でやることになります。瞬間ごとの判断に集中しないと上手くいきません。話しながら次の展開を考えるのでは上手くできません。テンポが悪くなります。そのため、事前の準備や段取りがひじょーーに重要です。しかし、これは普段の打合せでも同じなので、パネルディスカッションのコーディネーターって特殊なように見えますが、意外と誰でもできるんじゃないかと思う今日この頃です。